分類不能項目


Vol. 37

2009. Aug.16

親子で秘境駅鉄道旅〜飯田線編〜(後編) 


 

JR東海の路線図より

車窓の風景

茶畑がみえました

使われなくなった鉄橋を見かけました(左)


さていよいよ後編です


田本(たもと)駅

13:47着 



さて、駅に到着。片面ホームで待合がちょこんと一個あるだけ、トイレ無し。
ホームの片側はコンクリートで固められた「壁」となっています。よく見ると一箇所「岩」が飛び出しています。これは確かコンクリで固める前に処分も検討されたが、この岩を取り除いたら壁面が崩落する危険性があるとか無いとかで、そのままになったそうです(未確認情報です)

下車しようとしても見えるのはコンクリートの壁のみ / 壁面には岩がボッコリでています

岩は下から見るとこんな感じ

待合所が一つポツンと置かれています

で、ホームから周囲を眺めると上下線とも、すぐにトンネルにつながります。線路の向こう側は林になっており、遠方には天竜川が緩やかに流れているようです。

ホームから左を見ても右を見てもトンネルです

国土地理院の地図を見る

建物資産標によると昭和10年12月に出来たようです / 左下の黒と黄色のボックスには連絡用と思われる昔懐かしい黒電話が入っていました。窓には「警察官立寄所」とありますが、果たしてここまで警察官がやってくるのか疑問です。少なくとも鉄道以外の手段ではまず来ないだろうなあ





周囲には何もありません、人家も見えません


線路の向こう側はこんな感じ

田本駅のCubicVRです(できは良くありませんが)



さて駅から出てみようとしましたが、「あれれ改札口はどこでしょう?」

どこをみてもかいさつらしきものはありません。使用済みの切符投入箱があるのみ
ホームの端まで歩いてみると人一人が通れる狭い階段があります。
そこを上っていくと、、、、

ほーむのはじっこにポツリと青色の切符投入箱が置いてあり、その先は急な階段になっております

ここが出口??

階段を上から見るとこんな感じ

出口までの足取り、チビスケが息切れしています

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登り切ってひと言

「なにもないじゃん!!」





見えるのは上から見た駅全体と林のみ。道はあるけれど木の葉に覆われており急な斜面であり歩行以外の通行手段は無いような道のみです(自転車も無理と思われます)

階段を上りきると駅がよく見えます

駅を出ると?道は二つに分かれます。上り道を少し覗いてみました



駅から出る道は二つに分かれ一方は上り坂で他方は下り坂になっています。上り坂を上っていけば2kmほどで一般道に出るらしいですが、道幅は狭くすべりやすく、足を踏み外せば転落してしまうであろう険しい道。気分は著とハードなハイキング。私は途中で膝が痛くなってしまい断念。チビスケに一人で行かせたら心細くなったのか「途中で木が倒れて右をふさいでいる」と言って引き返してきました。

まずは一般道につながる(らしい)上りの道を行きます道路の中央にアスファルトが残っています

チビスケが一人で上りましたが途中で戻ってきました

道路脇は急斜面となっています。踏み外したら大変です

今度は下り坂を下っていきます。こちらは比較的路面のコンディションは最初はひどいモノで、足を踏み外せば急斜面に転落してしまうようなところでしたが(夜間は絶対歩きたくない)、徐々に歩きやすくなり?15分くらい歩いていくと天竜川にかかる吊り橋にでました。結構立派な鉄製の橋です。でも渡れるの歩行者のみです。ここでひとまず散策はお終いとして駅に戻ります。

道路脇にロープというかヒモで道の境が示されてあるところもあります。右の写真のように道の右端は道なのか単に枯れ葉が積もっているだけなのか分からないところがあるのです。うっかりそうしたところに足をおけば、踏み外して転落の危険性があります


しばらく歩くと吊り橋が見えてきました。結構しっかりとした橋です

橋の上から川面を眺めます。結構高いです /  橋から飯田線の鉄橋が見えます

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 カメラや三脚はホームに置きっぱなしでしたが他に誰が来るわけでもなく盗難の心配もなく?のんきな散策でした。
 夏だったらさぞのどが渇いたことでしょうが、ここには自動販売機などありません。訪問するときには飲料水は必需品ですね。

 小和田駅もすごかったが、ここ田本駅はまた違った意味ですごすぎます!!ここは周囲に人家は全くなく、下車する方は単なる物好きか釣り人くらいなのでしょうか?


待合に貼ってあった緊急避難地図、避難先は坂道を上って一般道路に出るようですが、、、

だいたい緊急時には道は使えなくなっている可能性が大!

前述した 国土地理院の地図と比較すればすぐ分かるのですが駅から避難場所の学校までの等高線の密度を見ると、いかに急峻な土地かが分かると思います。2kmの道のりを徒歩約30分というのは平坦な土地の話ですよね


 あたりまえですが?一時間半の滞在中、誰一人見かけることはありませんでした。ここもダム建設で集落と集落に通じる道が無くなり「駅だけが残った」のでしょう。

15:27発 普通豊橋行きにて駅を離れました


乗車した列車は先頭が「荷物室」として区分されていました。ちょっとした驚きでした


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為栗(してぐり)駅

15:36着 


最後は「為栗(してぐり)駅」です。これも難読駅ですねえ
田本駅から二つ戻ります。
またもトンネルをくぐると駅でした。
ここは普通の駅?というより何もない駅なのですが今までの駅が強烈すぎました。

簡単な待合所、ここにも「警察官立寄所」の札が、、、 。建物資産標には昭和11年12月とあります

またも電話ボックスがあったので思わずあけてしまいました。中には昔懐かしいダイアル式の黒電話があります


例によって改札口などありませんが、線路の向こう側には2件ほど農家とおぼしき民家があります。駅の周囲は畑になっていてやたら犬が吠えています。どうやら犬は警戒しているというより遊んで欲しいような吠え方でした

遊ぼうワン!

右手前に先ほどの犬がいました

線路脇は舗装されていますが、自動車は通行できません。向こうに吊り橋が見えます


駅の周囲には民家が2軒のみ!!これでも普通のアタマで考えれば十分すごいのですが、小和田、田本と特別クラスの「秘境駅」を見てきた我々には「普通っぽい駅」に見えてしまうのでした。

 気を取り直して周囲を見渡すと人家はあるけれど、車が通れるような道はありません。少し離れたところに天竜川にかかる鉄橋があります。そこまでトコトコ歩いて行きます。おお、水面がキレイだなあなどと感動しながら橋を渡ります。橋を渡りきるとようやく普通の?山道となり車を駐めるスペースがあります。おそらく用があるときは橋のたもとまで自動車でやって来て、そこからは歩いて民家までたどりつくのでしょう(当然、鉄道を利用するという方法もありますが)

吊り橋を駅から遠い方からの撮影です。お分かりかと思いますがこの橋は自動車は通行不可です。駅方面にご用の方はここで車を降りて徒歩で向かわなくてはなりません

吊り橋から駅方向を眺める

為栗のCubicVRです(はっきり言って不出来です)



この2件の民家がもしも無くなってしまうことがあれば、この為栗駅も駅としての使命を終えてしまうのでしょうか?
 そんなことを考えながら駅を離れました

16:30発 普通天竜峡行きにて為栗を離れました




〜その後〜

駅巡りも今回はこれにて終了!あとは帰るのみ、と列車に乗り込みます。ボックスシートを一人一箇所占領し、のんびりと列車に揺られていると車掌さんが改札にやってきました。どちらまでと問われたので「岡谷まで」と答えました。すると
「今から岡谷まで行くのですか?」とたいそう驚かれてしまいました。まあ確かに岡谷に着くのは8時頃だけれどもそんなに珍しいかなあと不思議に思いました。


 そこでちょっと図に乗って、「でも岡谷から乗り換えて東京に戻るのです」と付け加えたところ車掌さんは目をまん丸にして驚いておりました。大人一人ならいざ知らず、子連れで「為栗」から乗車してきたので驚いたのかもしれませんね。

天竜峡  17:02着 17:21発 普通岡谷行きに乗り換え

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さすがに普通列車に3時間も乗車していると疲れてきます。しかもおなかも空いてきました。チビスケに「岡谷駅では駅弁を売っているはずだから、そこで買おう!」と言ってがまんがまん。
 ところが岡谷駅に到着すると売店は既に閉店!!しまったあ!と思い駅から出てみると駅周辺には食べ物を販売しているようなお店はありません。ふと振り返ると駅の反対側に何やらお店がありそう。しかし帰りの列車の到着時刻が迫っており、そこに行く時間はなさそうです!「よし、特急列車だから車内販売があるはずだ!そこで食べ物を手に入れよう!」と決めて駅に戻りました。
 まもなく「スーパーあずさ」がやって来ました。中央線では以前からしょっちゅう見かける列車ですが乗車するのは初めて。列車はほぼ満員でしたが無事座ることが出来ました。やはり特急列車のリクライニングシートは溝した疲れたときにはここと良いモノがあります。幸い車内販売もやってきて無事サンドイッチを手に入れることが出来ました。


岡谷駅は既に真っ暗

これで東京に戻ります

岡谷19:55着 20:15発 特急スーパーあずさ36号新宿行き


 ああ今日も疲れたけれど、今回は強烈な印象を残した旅でした。時間があったらまた来るぞ!