Vol. 35
親子でいすみ鉄道&小湊鐵道乗下車旅行(その 4)
さて、いよいよ(ようやく?)小湊鐵道編です!!
黄色で示された駅は無人駅だそうです
小湊鐵道ホームページより転載
小湊鐵道は千葉の内房にある「五井」から「上総中野」の結ぶ路線です。小湊鐵道の会社は鉄道の他のバス路線を多数もっており、鉄道よりもバスの方が収益が大きいという会社です。まあそのおかげで生き残ることが出来ているのかもしれませんが、、、。車両は旧国鉄のキハ20という車両がベースになっている気動車で、いずれも30年以上走り続けているという車両です。京成電鉄とのつながりがある関係でクリーム色とオレンジのツートンカラーとなっているそうです。レトロな雰囲気いっぱいで、美しい車両と風景がマッチするためか「撮り鉄」が多数集まってくるところです。
五井から上総牛久までは木更津方面への通勤圏でもあるので列車の本数も多く30分に一本程度運行されています。風景も「地方の街」といった感じです。ところが上総牛久からは1時間に一本の運行本数となり、風景も急に田園風景となっていきます。我々が目指すのは当然この上総牛久ー上総中野の区間です
既にお昼を過ぎているので厳選して??駅巡りを行っていきます
上総中野(かづさなかの)駅 14:00
さて、上総中野に戻り今度は「小湊鐵道」に乗車します。こちらの車両はレトロなディーゼルカーです。小湊の車両は古いmものは40年くらい前のものですが、丁寧に扱われ、またこのクリームとオレンジの塗装から「撮り鉄」達にとっても格好の対象となっているそうです。
いすみ鉄道と同じく車内で「フリー切符」を購入します(我々は朝のうちに養老渓谷駅で購入済み)。小湊鐵道は車掌が同乗していますが(いすみ鉄道はワンマンカー)、女性車掌が多いようでした。
ガタゴト揺られていい気分です
ちなみに貫通路のまわりに幌がついているのは五井側です。上総中野側には幌はつきません
14:24-15:24 里見(さとみ)駅
窓から眺めると駅に近づくと大抵三脚を構えた「撮り鉄」の姿を見かけます。美しい田園風景と車両がマッチするのでしょう。
右側のホームは現在使用されておりません
この駅はかつては有人駅だったのでしょうが現在はガランとしています。それでもきれいに手入れが行き届いています。
駅舎を外から眺めたところ
左はチッキ(鉄道貨物)のあと、右はきっぷうりば(無人ですがきちんと残されています)
線路は三線分ありますが、実際に使われているのは一線のみです。向かいのホームは現在使用されていませんが放置されているわけではなくキレイに手入れされています
ホーム側の軒先はギザギザの形となっています。聞いた話ではこれはかつて蒸気機関車を使用していたときに煙りよけとしての役割があったそうです。
このギザギザは木造駅舎のある駅ではどこでも見られます
小湊鐵道のトイレの多くは懐かしい汲み取りトイレです
駅舎の横には冬用?と思われる薪が積みかさねてありました
駅舎の入口には杉玉(酒林ともいう)がぶらさがっていました。これはかつて酒屋の軒先などに「新酒が出来ました」という合図で飾られたそうですが、ここにあるのは純粋に飾りとしてあるのでしょうか?
ディーゼルカーの油煙がいい感じです
CubicVR(360度パノラマ)を作成しました
15:32-16:02 月崎(つきざき)駅
ここも木造の駅舎の駅です。構内は比較的広くかつてはにぎわっていたのでしょう。駅前は広く仮設?の小物販売店がありました。ここでアイスクリームを買って一息つきます。
駅舎はガランとしていますがキレイに手入れされています。
こちらは使われなくなり線路も見えません
里見駅と似た雰囲気です。駅前はガランとしております
駅前広場?にあるプレハブの簡易売店?この路線では売店の存在は貴重です。ちなみに売店のおばちゃんは駅でくつろいでおり、お客さんが来ると駅から出てきます。写真に写っている車は「駅を見に来た」と思われる若者。写真を撮影したら帰っちゃいました。
里見駅もそうでしたが、あえて改築せずに古いままで手入れされているのを見ると小湊鐵道は「古い駅舎」を大切に使用しているのではないかと推測されます。
旧国鉄系の駅舎がどんどん機能的に改装されたりされているのとは対照的な感じです
ここも向かいのホームは使用されておりませんが、きれいに手入れされています
駅舎とその内部、ガランとしていますが手入れが行き届いています。座っているのは広場にある売店のおばちゃんです
トイレはいずこも昔ながらのくみ取り式。この木造の扉にある「かぎ?の役割をする構造」なんて今の若い人には分からないだろうなあ
この木製の扉の使い方を慣れているのは40代以上だろうなあ
線路を眺めていると、あらら犬釘があちこちに落ちています。拾ってみると久留里線などで拾った犬釘よりも一回り小さいようです。
犬釘があちこちに落ちていました
おそらくかつての国鉄路線では統一規格でローカル線には「過剰品質」とも思われるものだったのかもしれません。私鉄である小湊鐵道では、その性質に合わせて「小振り」な犬釘が使われたのではないかと勝手に思っております
一番左は旧国鉄路線で拾った犬釘、右2本は月崎駅で拾ったもの。大きさが明らかに異なります
女性の車掌さんがテキパキ業務をこなします
16:16-16:37 上総久保 ( かずさくぼ )駅
今度は「かずさくぼ」です
到着直後にチビスケが「暑い!」と騒いでいます
一面一線のおそらく当初から無人駅だったと思われる駅です。待合所とトイレだけの駅です。周囲は田んぼで、ホームの脇に大きな木が一本あります。これがまた素晴らしく美しく見える駅です。後で知ったのですが紅葉の時期になると「撮り鉄」達が集まってくるそうです。
周囲は田園風景そのもので美しいものがあります
例によってぽっとんトイレがあります
何となくチビスケが動画を撮っていました
ホーム脇にある樹木との風景がこの上なく美しい風景を作り出しているような気がしました。これだけの美しい風景は久しく見ていなかったような気がします。今回の旅の中でももっとも感動した風景のひとつでした
16:56-17:27 上総大久保(かづさおおくぼ)駅
ここは「かづさおおくぼ」ですね
ここも待合のみの駅。近くに学校がありますが通学に使われているのでしょうか?「白鳥小学校」なんて名称がすごい!
これはこれでいい駅なのですが他の駅のインパクトが強い分、印象が薄くなりがちです
踏切の右側にカメラを構えた「撮り鉄」がいます
「撮り鉄」が立っていた場所から見た駅の風景
17:50-18:04 上総鶴舞(かずさつるまい)駅
ここは「かずさつるまい」です
当初は上総川間に行ってみようかと考えていたのですが、気が変わってこちらに変更しました。チビスケは知っていたようですが「日本の駅百選」に選ばれた駅だったのでした。木造の駅舎が美しい駅です。あまりゆっくりとは出来ませんでしたが良い駅です
そろそろ日が傾きつつあります
右の親子は、どうやら祖父母の家に遊びに来ていたようで、列車を見るために駅に寄ったようです
右は窓越しに見た旧事務所内部、レトロなテレビが放置?されています
左 五井側 / 右 上総中野側
関東の駅百選に選ばれた駅です!でも里見や月崎もこれに劣らずステキ!
徐々に日が落ちてきました
18:18-18:55 飯給(いたぶ)駅
絶対、「飯給」=「いたぶ」なんて読めないよなあ、、
難読駅である「いたぶ」駅です。今では読めますが、当日はなかなか覚えられませんでした。ここは桜の時期になると「撮り鉄」達が集まってくるそうです。我々が訪れたのは夏であり、だあれもおりませんでした
桜の時期にな見事な風景を楽しむことが出来るそうです
私にはこれでも十分楽しめます
上総中野側は林の中に線路が消えていくような錯覚にとらわれました
ホームから眺めると正面の林に鳥居がみえます
駅の周りを散策していると、一台の車がやって来て駅のそばに停車しました。
降りてきた男性は駅に向かいます。私達の荷物は駅に置きっぱなしです。持って行かれたりしたら困るので慌てて駅に戻って見ると、なんとその方は朝、養老渓谷駅で声をかけてくれた駅員さんでした。毎日、夕方になると飯給駅のゴミを回収に来ているようでした。
かの駅員さんは我々を見て「あら、あんた達まだこんな所にいたの?」とおっしゃいます。まあ我々のことを覚えていてくれたのですね。「飯給のxxを見てきたのかね?」と問いかけてきます。常識的に考えて駅員さんは我々のことを「小湊鐵道を利用して、沿線の観光に来ている親子」と思っているようでした。まさか「駅巡り」をしているとは思っていないようです。しばし話をして駅員さんは車でゴミをまとめて去っていきました。
ゴミを回収に来た養老渓谷駅の駅員さんでした
周囲は次第に薄暗くなっていきます。パッと待合にも灯りがつきました。灯りがついた待合に入ると、天井に無数とも言える蜘蛛がうごめいておりました。これにはちょっとびっくり!
次第に暗くなっていきます
灯りが物寂しい雰囲気です
やがて列車が現れ、我々は駅を後にしました
本当はもっと駅巡りをしたいのですが暗くなってきており、これ以上は無理と判断し帰ることになりました。
19:44 五井着
旅の終わり
印を付けたのが今回訪問した駅
小一時間で終点の五井駅に到着。小湊鐵道は全駅下車にはほど遠く終わりました。それでも美しい風景に魅力的な車両達。
五井駅で夕食がわりにコンビニで弁当を買ってホームで二人で食べて帰りました
それにしてもほぼ各駅に立派な三脚をかかえた「撮り鉄」がいたのも驚きでした。いすみ鉄道では見なかった光景でした。残念だったのは「撮り鉄」達はみなさん自動車で来ている方ばかりで列車を利用して撮影している方は皆無だったことですなあ
それにしても都心部から1時間足らずの場所にこんなにステキな鉄道があるなんて感激ものです!風景も美しく人混みも無く、ひたすら田園風景が続いておりました。
いすみ鉄道は常に存続問題が出ておりますが、何とかしてこの美しい路線を残してほしいものです。ただ、これは元国鉄路線一般に言えることなのですが私鉄ローカル線(ここでは小湊鐵道)ほど「古いものを大切にしたい」という意気込みが感じられないのは残念でした。
なんにせよ時間があれば是非とも再訪したい路線でした。