夏井先生のHPでも紹介されていた本に以下のようなものがあります
「ドングリと文明 ウィリアム ブライアント ローガン著」
これは「ドングリ」が人類の発展に多大な寄与したのではないかという視点で書かれた本です。詳しくは同書をお読みになるのが一番ですが、簡単に言うと「農耕開始以前の人類の栄養摂取にはドングリが欠かせないものであった」であるということと「ドングリはとても腹持ちがよく空腹感もない」とのことです。
これからすると「ドングリ」を「糖質制限食」といえるのではなかろうかという発想が浮かび上がります。きっとドングリは人類を支えてきた糖質制限食なのであろう!と大きく期待が膨らみました!
ところがネットでドングリの成分を調べてみると大部分が「糖質」であり「脂肪」などはごくわずかにしか含まれておりません。
以下に示すように糖質に比較して蛋白質、脂質はわずかのようです
種 類 | Kcal | 水分% | 蛋白質 | 脂 質 | 食物繊維 | 灰 分 | 糖 質 | タンニン |
シラカシ | 236 | 40.7 | 1.8 | 2 | 1.1 | 1.7 | 52.7 | 4.5 |
アラカシ | 235 | 41.1 | 1.8 | 1.9 | 0.9 | 1.6 | 52.7 | 4.4 |
マテバシイ | 236 | 39.9 | 2.5 | 0.7 | 0.9 | 1.2 | 54.8 | 0.5 |
スダジイ | 249 | 36.6 | 2.3 | 0.5 | 0.7 | 1 | 58.9 | 0.1 |
イチイガシ | 252 | 37.6 | 1.6 | 2.1 | 0.8 | 1.2 | 56.7 | 1.2 |
コナラ | 281 | 28.1 | 2.9 | 1.7 | 1.2 | 1.9 | 64.2 | 4.8 |
ミズナラ | 287 | 26.2 | 4.6 | 1.1 | 1.4 | 2.1 | 64.6 | 6.7 |
クヌギ | 202 | 49.3 | 2.1 | 1.9 | 1.2 | 1.3 | 44.2 | 1.3 |
「食の雑学」より転載
実際どんなものなのでしょうか?手っ取り早いのは自分自身で「ドングリ」を食べてみる事です。
そこで今回は「実際にドングリを食べて、その血糖変化を探る」ことがテーマです
さて、どんぐりですがまず入手しなくてはなりません。その辺の林を歩いて拾ってきても手に入ることは入りますが、そんなことをやっていては調理にも時間がかかるしやってられません。
そこでネットで検索すると韓国料理の食材として「ドングリの粉」が販売されているのを見つけました。早速購入
数日後送られてきたものを眺めてみると、当然ながらハングルで記載されています。日本のものとは異なり成分などは記載がありません。これでは何グラム食べたら大体どのくらいのカロリーがあるかわかりません
ヤンバンフーズより購入
ドングリの種類によってもカロリーが異なりますが上に示した表によると、大体100gあたり200〜280キロカロリーくらいあるようです。
とりあえず100gの粉末を利用してドングリゼリーを作って見ることにしました。
大体何倍の水を加えれば良いのかわかりませんが、5倍量から10倍量の水分を加えるらしいです。今回は5倍と7倍弱の水分を加えたものを作ってみました。
まあ水に溶かして煮立てて冷やすだけです。味付けは一切行なっておりません
7倍弱の水分を加えてものはプリンのような状態になりました
7倍弱量の水を加えたものです。こんにゃくのようなプリンのような
一方5倍の水分のものは「がんも」のような硬さとなりました。見た目は美味しくなさそうです
5倍の水分を加えたもの、濃いカレールーのようにもみえます。すぐに固まります
2種類の「ドングリゼリー」の重量は合計で710gもあります。結構あるなあ、、、
2つで710gあります。あまり食欲をソソられません、、、。
さて食べてみますが、さすがに味というべき味はありません。はっきり言って「おいしくない」食事というより作業に近い状態です。途中で飽きてきたので醤油をたらして食べます。さらに水で「流しこむ」ようになってきます。
最初に5倍希釈?のものを食べきりましたが、なんだかもうこれでお腹いっぱいというかこれ以上食べたくない気持ちです。でもそれでは実験にならないので7倍弱希釈のものにうつります。こちらはプリンみたいになっているのでホントに食べるというより「流しこむ」状態でした。
どうにか合計710gの「ドングリゼリー」を食べるというか流し込みました
5倍の方は型崩れもしません。
果たしてお腹はパンパンになりました。本当はこの半分で十分お腹は満たされたと思いますがまあ仕方がない
さて、実際に血糖を測定してみたところ以下のようになりました
食前 | 30分後 | 1時間後 | 2時間後 | 3時間後 | 4時間後 | |
ドングリ100g | 94 | 180 | 210 | 188 | 69 | 56 |
プロテイン+ツナ缶(ほぼ糖質ゼロ) | 102 | 112 | 104 | 111 | 109 | 106 |
上段に今回のドングリ100g摂取、下段は糖質ほぼゼロ食の時の血糖値を比較目的で掲げています。ちなみに糖質制限食は750Kcalに調節しています
ドングリでは急激に血糖が上昇し、その反動で3時間後に低血糖気味になっています
グラフにすると一目瞭然!ドングリでは血糖上がりまくりでした
4時間後、低血糖症状が出てきて手が震えるし、力は入らないしで仕事にならないので、ここで糖分を補給しました。ここで実験終了としました
私の場合耐糖能異常があると思われますので、いわゆる一般の「正常人」パターンとは異なるとは思います
以上の結果から、少なくとも私にとっては「ドングリ」は糖質制限食とはならないようでした。う〜ん、残念
現在どんぐりを食べて約2時間が経過していますが、まだお腹はもたれているくらいにいっぱいです
「腹持ちがいい」というのはたしかにその通りかもしれませんが、血糖を上昇させないということはないようです
ドングリの名誉のために付け加えますが、韓国ではドングリを利用した料理がありますが、それはあくまでドングリを素材としたもので、それに様々な食材を加え調理したものであり、私がやったように「ドングリゼリー」を味付けもせずに食べることは無いようです
でもこれは面白かったです