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その11

講談社 リボンの騎士
(1964)

   

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リボンの騎士

今回は手塚治虫の名作である「リボンの騎士」の第1巻です。この本は奥付を見ると昭和39年11月発行とあります。ということは私が北海道の旭川に住んでいた頃に購入した本です。でも、同した経緯で購入したのかは覚えていません。たぶんこれは私のではなく、姉の本だったような気がします。当時、我が家は漫画なんて滅多に買ってくれたことはなかったので、おそらく何か特別なことがあって、その機会に買ってもらったと思われます。姉には「リボンの騎士」、私には「鉄腕アトム」を買ってもらったような気がしますが記憶が曖昧でわかりません(鉄腕アトムは紛失してしまいました)

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大きさはB5サイズです。価格は130円。後ろに「なまえ」を記入するスペースがあります

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厚さはこんなもんです


 本来、多分姉の本だったと思うのですが、実は私は「リボンの騎士」が大好きでした!!当時、私は5歳。幼稚園児でした。今でも覚えているのは商店街の文房具屋さんで「リボンの騎士」が表紙に描かれたノートをみつけて、本当に「欲しい!」と思ってものです。でも当時はお小遣いももらっていませんでしたので入手することはできませんでした

 

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ほぼ50年も前のことですが、そのノートの表紙は上の絵と同様のものでした。記憶では背景はもっと濃いブルー窓の外は夜空だったような気もしますが定かではありません。まあとにかく今でも覚えているのです

 

とにかく、主人公の「サファイア」が大好きで、何度も読み返していました。特にかつらをつけて「あま色の髪の乙女」に扮装した姿がお気に入りでした。当時は「あま色」という色がどんな色かわからず、なんとなく憧れの色でした。後に「これがあま色」というものを見た時「なんど焦げ茶色みたいで全然きれいじゃないじゃないか!」などと思ったものです。

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これが見開きの表紙、「あま色の髪の乙女」の姿です


 主人公のサファイアは普段は男装で、それらしく振舞っていますが、一旦「あま色の髪の乙女」に変装すると、それはそれは「可愛い女性」となります。当時、5歳の私はそれがそれがとても好きでした。極端な話、普段の姿はどうでもいいくらいでした

サファイア

男装のサファイア。後半とは服の模様が異なります

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これが最初の「あま色の髪の乙女」への変身シーン、乙女姿で舞踏会に参加するのでした


 サファイアはしばし、「乙女の姿」に変装して活躍します。その姿を見るたびにワクワクしたものでした。ところが中盤以降、「あま色の髪の乙女」=「サファイア」であることが判明してからは変装することがなくなってしまいました。そのためかどうか私の興味も薄れてしまい、途中からの展開に興味がなくなり、全体のストーリを知ったのはかなり後になってからでした。

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フランツ王子との出会いの場面

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周囲の灯りが、提灯に見えてしまうのは私だけでしょうか?

 

 そういえば、当時友達の家に遊びに行ったところ、「リボンの騎士」の続巻が置いてありました。友達の妹か姉だかの所有物だったと思いますが、手にとってみてみると、なんとサファイアが亜麻色の髪の乙女に変装して登場しているシーンが有りました。読むと乙女姿のまま両手を鎖でしばられて拷問をまさに受けようとしているところでした。「火あぶりになりそうになり悶える乙女!」そのシーンを見て私はなんとも言えない気持ちになったものです。今にして思えば一種のエロチシズムを感じていたのかもしれません。

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逃げるサファイア!この表情が色っぽい!?それにしても素顔?と変身姿では顔のラインが異なるのはなぜでしょう?同一人物とは思えません

 

そうやって夢中になってみていると友達が「やーい、こいつ女の本を読んでいやがる」とからかってきました。思わず私は「なんでもないよ」とか言って思わず本を置きました。
 後に単行本化されたときに、そのシーンを探しましたがなんだか違うような気がしてなりませんでした。どうも単行本化された時、少しコマがカットされているような気がしました。私が最初オリジナル?で見た時はサファイアが何度も何度も火あぶりになりそうになったものが、単行本では一度だけになっていました。「こんなにあっさりしていなかったはずだ!となんだかひどく落胆したものでした」出来れば当時のものを見たいものですが、まあ無理でしょうなあ

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後ろには当時出来たばかりの虫プロダクションでの「まんが映画のできるまで」が特集されています。手塚治虫が若い!
ついでながら、この挿絵は「つのだじろう」氏のものですね

 そんなこんなでとにかく「リボンの騎士」は大好きだったのです。幼稚園の頃は寝る前に自分で勝手に「リボンの騎士」のストーリを考えて、想像するのが日課だったくらいです。(こうやって書いていると「リボンの騎士」というよりは「あま色の髪の乙女姿のサファイア」が好きだったのかもしれないなとあらためて思いました

 

 

うら

他にも色々ありますが、昭和40年前後の手塚治虫の代表作といえば私にとっては「鉄腕アトム」と「リボンの騎士」だったのです

 

ところで「あま色」とは一体どんな色なんでしょうと幼心にずっと疑問でした。漫画では金髪のように描かれるし、なにかのカラー画像では、「うすい茶色」的な感じでピンときませんでした。最近になってネットで色見本でみてみるとこんな色だったのですね!知らなかった!!(ここをクリック)

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