院長のひとりごと

当初は、もう少し花鳥風月を愛でる話や、世相を風刺するようなことを書いていこうと思いましたが、いつの間にか情けない話ばかりになっています。かといって愚痴めいた話はいやなのでこのペースが続きそうです。


院長のひとりごと その55

Aug.22.2006


お盆の怪談


今回もまたも心霊話です。当院の乙さんは聞けば聞くほど色々な心霊体験がでてきます。おかげでこうした話題のいい出しっぺである甲さんの幽体離脱体験話や金縛り体験なぞ、「どこかで聞いた事があるような話だなあ〜」などと新鮮味に欠ける?くらいになりました。

例えば、こどもの頃、姉妹でおばさんの家に泊まったときの経験だそうです。夜に目が覚めて、ふと隣に寝ている姉を見ると横に兵隊さんの格好をした幽霊がいたそうです。直感的に「この人はおばさんの夫だ」と理解したそうです。そうしちているうちに、そのおじさん?の霊は、くるくるとお姉さんを時計の針のように回転させ始めたそうです。お姉さんはクルクルクルクルと回転していたそうです。
 朝になって、そのことをおばさんに話すとおばさんは真っ青になって仏壇に「おじいさん、ごめんなさい」と言って拝みだしたそうです。きっと何かうしろめたいことがあったのではないかとことでした。
 
 また、数カ月前のことですが夜寝ていると、背中を向けているはずの扉がなぜか見えたそうです。そのうちその扉が開いて中からオレンジ色の光や何やらかがきらめいていたそうです。
これは(あの世から)お迎えが来たんだ!」と感じたそうです。何でも、とってもその扉の向こうに行きたい気持ちになったそうです。しかし同時に「その扉の向こうに行ったら死んでしまう」と感じたそうです。しばらくの間「向こうに行きたい、でも行ったら死んでしまう」と悶々としているうちに、先方は諦めたらしく消えてしまったそうです。

なんて、そんな話がボロボロ出てきます。いわゆるそうした感覚が欠如している私は「ふーん、ふーん」と感心して?聞いているばかりでした。

で、8月15日になりました。お盆の真っ盛りです。お盆のためかは知りませんが来院される方はとっても少なく、とってもヒマな診療でした。ヒマなもので乙さンと雑談をしていました。
 「今日はお盆だけれど、こういう日は霊は多いの?」と聞いてみたら
「今日はいかにもお盆という感じです。霊がうようよしているようです。お盆で帰ってきているようです。」
ふーん、ふーんと聞いていると曰く、
「今日は先生がメインのようです。」と恐ろしいことを言い出します。
「えー!なんでー?」と尋ねると
どうも私がかつて担当した患者さんたちの霊が私に挨拶に来ているとのことです。
確かに私は癌研におりましたし、癌研以外でも血液悪性疾患を専門としていたこともあり、患者さんが不幸な転帰をたどることが多かったのは事実です。おそらく最も霊と近い立場にある分野を専門としていたことになります。ですので、かつて担当した患者さんたちが挨拶に来たなどといわれると、妙に納得してしまいます。

その日は乙さンはパワー全開?で、お昼休みにも「扉の向こうに誰かいました」などと言い出すし、すっかりクリニックはお化け屋敷状態でした。

それにしても「お化けのでるクリニック」などとうわさが広がったら患者さんが来なくなってしまいます。まあ少なくとも院長自身は全くそうした心霊体験はありません。