院長のひとりごと

当初は、もう少し花鳥風月を愛でる話や、世相を風刺するようなことを書いていこうと思いましたが、いつの間にか情けない話ばかりになっています。かといって愚痴めいた話はいやなのでこのペースが続きそうです。


院長のひとりごと その 37

Oct.3.2004

棒倒し

チビスケが小学校に入学して初めての運動会を観てきました。少子化の影響もあるのかこじんまりとした運動会で、華やかさという点では幼稚園のほうが盛り上がっていました。


 途中、5,6年生の競技で懐かしの「棒倒し」がありました。
 今どきの棒倒しはさぞ軟弱なものであろうと思って見ていると、やはり平穏そのもので間違っても「殴り合い」などのような光景は見られませんでした。

 自分自身の経験では「棒倒し」は私の背が高いこともあり、いつも棒を支えている方で突撃する機会はありませんでした。棒にしがみついていると誰かが引きはがそうと服を引っ張ったり、背中を踏んづけて上に上ろうとするヤツがいたりで結構痛い思いをしたものです。周囲では近づくヤツにパンチやキックを出している連中もいました。

 もっともそんなものも私の父親の世代からすればなまっちょろいものでした。何といっても父親は旧帝国海軍経理学校というところの学生でした(卒業前に終戦になりました)。ですから運動会の棒倒しというものはすさまじいものがあったそうです。父親も背が高かったので下で棒を持つ係だったそうです。競技が始まると一斉に敵が上に上ってきたそうですが、それを防ごうと味方はもろに鉄拳攻撃をするそうです。下で棒を支えて踏ん張っていると上から殴り合いの凄絶な音が聞こえ、血がポタポタと垂れてきたそうです。文字通り血塗られた棒となっていたそうです。

 しかもそれで終わりではありません。幸い父親の組は勝利することが出来たそうです。喜んだ上級生は「おまえら良くやった!これか外出許可する!」と言ってくれたそうです。喜んで外出しようと相手方の宿舎の前を通ると、、、。その頃負けた組のほうでは上級生が怒って「おまえらたるんでおる!そこにならべい!」と負けた人間を整列させ、そこに鉄拳制裁を加えていたそうです。気の毒に思ったのか脅えたのかわかりませんが父親達は、その宿舎の前をそっと息を潜めて通り抜けたそうです。


 まあそんなことを漠然と思いながら平和な棒倒しをちょっと物足りないかな、でもこれでいいのでしょう!と思いつつ見学していた一日でした。