当初は、もう少し花鳥風月を愛でる話や、世相を風刺するようなことを書いていこうと思いましたが、いつの間にか情けない話ばかりになっています。かといって愚痴めいた話はいやなのでこのペースが続きそうです。
院長のひとりごと その 35
Aug.12.2004
心霊体験
この時期、暑さしのぎに昼休みなどにインターネットで「心霊写真」を検索してみると実に様々な写真を目にします。私が少年時代に見た心霊写真のたぐいというのはいずれも白黒写真でしたが、当たり前ながら昨今のものはカラー写真が多いようです。でもカラー写真だと、あまり恐くないのです。それにデジカメが発達し、素人にも簡単に合成写真を作ることが出来るようになったので、なんだかうそっぽいのが多くて最近の写真は背筋が寒くなるようなものはトンとみかけなくなりました。
自分自身にいわゆる「心霊体験」というものは皆無です。病院勤務していた頃など夜勤の際に一度くらい霊を見てもよさそうなのに、一度も見たことはありません。夜の2時頃に霊安室の隣にあるお風呂に入っていてもなにもありませんでした。
そもそも霊なるものをあまり信じていないからです。だいたい、「永遠にさまよう霊魂」とか言われますが、それならば原始人の霊魂とかもあってもよいはずなのに心霊写真とかに写る姿でちょんまげ姿の武士等というものは見たことがありません。伝承でもせいぜい平将門ぐらいが限度です。本当に霊魂が永遠ならば、古墳時代の幽霊とかもあってもいいはずと思います。
さらに転生輪廻のリクツにしても、紀元1世紀頃の地球の人口は一億程度なのに対し、現在は70億程度までに増えています。もし転生輪廻のリクツがあるのであれば、1億人分の生まれ変わりは理解できますが、残りの69億人分のタマシイはどこから来たのでしょう?などとムキになってしまいます。
でもコワーイ「心霊写真」などを見ていると、ゾクゾクっとしてくるのも確かです。
以前勤務していた病院には「霊感が強い」という看護婦さんがいました。お話を聞くとなかなか恐い。「2階のトイレの特定の個室は、恐くてどうしても入れない」と言います。他の古参の看護婦さんに聞くと、以前その場で自殺をした人がいたとのことでした。その看護婦さんはそんなことは知らなかったそうですが、なぜかその場所に恐怖を感じていたそうです。また夜勤の時にナースステーションの扉をノックする音がしたので開けてみると、先日亡くなったはずの私の受け持ち患者さんが立っており、「おかげさまで元気になりました。入江先生にも宜しくお伝えください」と言って微笑んだそうです。ハッとすると、もうその姿はみえなくなっていたそうです。さすがにその話を聞いたら私も恐くなりました。また、出勤しようとバスに乗って、外を見てみたら入院しているはずの患者さんがたたずんでいたそうです。病院につくと、ちょうどその患者さんが亡くなったところだったそうです。
そんな話を聞くと私もさすがに背筋に寒いものが走ります。
ある晩、一緒に夜勤だったとき、その看護婦さんが私のところにやって来て「先生、2階のカドの窓に男の人の顔がついていて恐い!」と言うではありませんか!!「え??」一瞬何のことか理解できなくて、聞き直しますが「今、男の顔が窓ガラスに映し出されている」とのことです。映っていた、と過去形ではなくて現在映っているそうです。他の看護婦さんが「入江先生、一緒に見てきなさいよ」と私をたき付けます。霊魂をあまり信じていない私も、さすがに心細くなりました。これが私の心霊初体験となるのであろうかと思いつつ、恐る恐る看護婦さんと一緒にその場に行って見ると窓には何もありません。看護婦さんも「ああ、もう何も無くなっている」と言っております。やれやれと思うやら半分残念のようなホッとしたような。
そういえば学生時代、後輩に霊感が強いという女学生がいました。幽霊を見るのはしょっちゅうで、バイトで心霊写真の鑑定をやっていたとのことでした。
具体的には送られてきた心霊写真と称するものを、スクリーニングするというものだったそうです。どのように見分けるの?と聞いたところ、リクツではなく、本物は感ずるところがあるとのことでした。そうして彼女が選んだものを鑑定家?のところに持っていったそうです。
彼女は私と同じフィールドワークをするクラブに所属していました。ある年、奄美大島に出かけ、その際現地の神聖な場所を写真に撮ろうとしたところ、どうしてもシャッターがおりなかったそうです。他のメンバーがやってもシャッターがおりなかったそうです(他のメンバーの証言あり)。何回かトライしてどうにか撮影できたそうです。 あとでその写真を現像したところ私も見ましたが、一面にたくさんのあぶくのようなものが写っていました。「なんだこれは?レンズに水滴でもついていたんじゃないの?でも変な写真だね」と言って返した記憶があります。その後その写真は彼女は「良くない写真」ということで捨ててしまったそうです。
最近、知ったのですが、心霊写真にあぶくのようなものが写ることあるそうで、なんでも「オーブ*」とかいうそうです。それが何を意味するのかは私は知りません。その「オーブ」とかの写真を見ると、まさしく当時見た写真のものは「オーブ」そのものでした。しかしながら今となっては確かめようもありません。ああ、あれは果たして心霊写真だったのでしょうか?
*調べてみると?「オーブ」=心霊写真とは必ずしもいえないそうです(心霊マニア?の間でも意見が色々あるようです。)では何?と言われてもよくわかりませんでした。