当初は、もう少し花鳥風月を愛でる話や、世相を風刺するようなことを書いていこうと思いましたが、いつの間にか情けない話ばかりになっています。かといって愚痴めいた話はいやなのでこのペースが続きそうです。
院長のひとりごと その29
Mar.14.2004
走れメロス
チビ助の幼稚園の学芸会の季節になりました。今年は何をやるのであろうと聞いたところ、なんと太宰治の「走れメロス」をやるとのことである。てっきり「浦島太郎」とか「桃太郎」でもやるのかと思った私はびっくりしました。
「ところで何の役をやるの?」とチビに聞いたら「山賊をやる」と言い出しました。山賊なんて、あまりに似合いすぎているので思わず「やめなさい!どうせならばメロスになさい!」と諭しました。他に何の役があるのか、ついでに聞いたところ王様役や、メロスの親友のセレネンティウス、あと「水の役」があるとのことでした。「水の役?」ってなんじゃい??とにかくそんなわけのわからない役(失礼)には手を上げないようにと言っておきました。
結局、役はメロスは抽選に外れて「王様」に決まったそうです。悪役の王様ならば、体の大きいうちのチビにピッタリ?です。まあよかろう?と思いつつ時を待ちました。
学芸会当日は、私は診療があるので鬼ママにビデオを撮ってもらいました。診療を終えて家に戻り、ゆっくりビデオを見ます。
じゃーん!!メロス登場!!おお、なんとメロス役は6人もいます。そうです今の学芸会は一人の役を一人が演じるのではなく、複数の子供がまとめて演じるのです!!。メロス役は6人!!思わず赤塚不二雄の「おそ松君」という六つ子兄弟が主人公のマンガを思い出しました。すると王様はチビ太かイヤミか?それともデカパンか??などと妄想モードに入りそうです。気を取り直してビデオを見ます。
王様登場!!王様は4人です。4人の中の一人がうちのチビです。チビといっても4人の中ではいちばん体が大きく、態度だけは貫録十分です。
さて、ストーリが進みます。メロスの親友のセレネンティウスも6人います。おそ松君も真っ青です。メロスはセレネンティウスを身代わりにして「3日以内に戻る。」と王と約束をし、出発します。
メロスは妹の結婚式に参加した後、処刑されるためにセレネンティウス達が待つ処刑場に向かいます。
途中、メロスの行く手を阻もうとする山賊が登場しました。いかにも悪そうな山賊が登場か?と思いましたが、出てきたのは4人の子供たち。
あれれ?メロス6人に対し、山賊はわずか4人です。チビの解説では、これから死にものぐるいの戦いが始まるとのことでしたが、6対4では勝負にならず?山賊はメロスの正拳突きで一撃のもとで倒されてしまいました(勢い余って山賊役の子が本当に吹き飛ばされてしまいました)。
途中、メロスは疲れ果てて倒れます。もう駄目かと、その時恵みの雨が降ってきました。おお!雨(水)の役の子供たちの登場です。雨の役があるとは知りませんでした。水色のヒラヒラをつけて走り回っています。途中、雨の役の子が倒れているメロスにつまずいたりしています。
なんてやっているとメロスは時間ぎりぎりで王とセレネンティウスの待つ処刑場にたどり着きます。6+6で合計12名ものメロスとセレネンティウスがいます。そこに4人の王様が加わり、もうなにがなんだかわかりません。舞台の上はさながら盆踊り会場のようです。東京音頭が聞こえてきそうです。
とにかく!大団円を迎えることが出来ました。
ああ、無事に終わって良かった!というのが正直な感想でした。