院長のひとりごと

当初は、もう少し花鳥風月を愛でる話や、世相を風刺するようなことを書いていこうと思いましたが、いつの間にか情けない話ばかりになっています。かといって愚痴めいた話はいやなのでこのペースが続きそうです


院長のひとりごと その105

July.15. 2024
 

母を看取る

 

 母が亡くなった。施設に約4年前に入居し私が主治医を務めていました。入居当初は要介護2レベルでしたが最後は要介護5の状態でした。

 亡くなる10日ほど前からほとんど食事を取れなくなり水分を取るのがやっとの状態となりました。それも数日後には水分もとれなくなっていきました。介護スタッフには「延命処置は行いません。自然に任せます」と伝えました。

 人間、水分も取れなくなるととれなくなったら一週間くらいで死亡するというのは経験的にわかっています。

姉にもその旨を説明し覚悟するように伝え、ついでに葬儀の手配も始めました

 医療的なことは何もしないつもりでしたが、一度だけ点滴を試みました。何も食べられなくても水分さえ補給すれば延命ができます。一度だけはやってみようと試みました。しかし実際点滴を行ってみると10分ほどで自己抜去してしまいました。

 報告を聞いて私は全てを諦めることとしました。もしかすると母が延命処置を拒否しているのかもしれないとも思えました。

 あとは成り行きに任せるだけ 

 その3日後、母は息をひきとりました。土曜の朝のことでした。診療開始前に連絡を受けました。すぐに駆けつけるべきか一瞬迷いましたが、姉が駆けつけることだし、急いで駆けつけたところで何も変わらないし、施設の方からも診療が終わってからでいいですよとのことだったのでお言葉に甘えて午前の診療を終えてから出かけました。

 亡くなった母をみても十分予期できたことであり来たるべきものが来たと言った心境で淡々と成すべきことを成しました。

 死亡診断書を作成。死因は老衰とす

 自分の母親の死亡診断書を作成するのはなんだか感慨深いものがありました。父親の時は入院先で亡くなったので私が診断書を作成する事はありませんでしたが、今度は私が作成することとなりました。

 親孝行らしいことは何もできませんでした。これが最後の親孝行になるかどうかはわかりませんがこれも一つのけじめであろうと私なりに解釈しております。