院長のひとりごと

当初は、もう少し花鳥風月を愛でる話や、世相を風刺するようなことを書いていこうと思いましたが、いつの間にか情けない話ばかりになっています。かといって愚痴めいた話はいやなのでこのペースが続きそうです


院長のひとりごと その99

June 30. 2019
 

サクラ大作戦

 

 

先日、医師会で「認知症のかんたん診断と治療」というテーマで某先生の公演していただきました。そもそも私が提案したので私が司会を務めさせていただきました
 
 三鷹市の近辺には認知症治療を宣伝している某大学、高齢者診療で有名な病院があり、そこに丸投げしているセンセイが多いので色々な意味でどうにかならないかと思っております。
 私は常に患者さんと接している開業医こそが認知症治療の最前線に立つべきだと思っているのです

そんなこんなで医師会にお願いをして先方の先生にも了解を得て準備をしました。人手不足というか恒例というかサポートを某製薬メーカーにお願いしておりました。ところがこれが問題でした

 この先生は大変勉強家で脳外科医なのに、とても博学で自身でデータを積み重ねておられます。アリセプトの治験の問題点、用量問題、ジェネリック薬品の問題などなど幅広い知見を持っておられます

こうしたことを発表してもらおうと思っていたのですが、なんと実はそのような講演はできないとのこと
打ち合わせをしていると以下のようなメールが届きました

>今回は製薬メーカーの講演会ですので、ほとんど本当のことを話すことは出来ません。
>xxxxxの話はしませんし、ジェネリックの話も出来ません。
>もちろん、治験の話も出来ません。
>質問されても、ストレートにお答えすることが出来ません。
>残念ですが、そういう時代です。

>今春、今までよりもさらに各薬剤メーカーのコンプライアンスが厳しくなり、用法用量外の話は完全にアウトになりました。
>事前にメーカーによるスライドチェックがあり、不都合のあるスライドは外しています」

驚いたことに事前にメーカーによるスライドチェックがあるそうです

メーカによる事前のチェックがあったら、それはもう言論統制に近いのではなかろうか!!でもメーカーとしては自分に不利なことを言ってほしくないのは当然なのでしょう

更に追い打ちをかけるように

>もちろんですが、他メーカーのお薬、xxxxとxxxxxの話は出来ません。
>治験の話はもちろん、ジェネリックの話もです。

>以前はxxxxxの副作用の話をしていましたが、現在は出来ません

これでは骨抜きになってしまうなあ
と、へこんでしまいました

へこんでいたところにその後連絡がありました

>スライドで言えないことを、動画で表現します。(笑)
>質問もして下さい。他社の批判は出来ませんが、よいところは話が出来ます。
>xxxxxxxのことでもOKです。
>治験のことも、ぎりぎりで質問にお答えします。

なるほどこちらから質問形式にして、それに答えるという方向でギリギリ裏話をしてくれるようです

それにしてもメーカーが後ろについていると本当のことが聴けないというのは今後顕著になってくると思われます
 本音を聴くにはメーカー抜きの会にしなくてはならないなと考えさせられました

当方としては認知症治療に無関心な「大病院に丸投げ、メーカーの言いなり」ドクターの啓蒙目的で開催をお願いしました

今回、対象を医師以外にも広げたところ、ケアマネ、介護スタッフからも参加希望が多数あり医師よりも意識が高いじゃん!と感心しました。
 また三鷹市医師会以外からも問い合わせがあり、参加OKとしてもらいました。

で、本番になりました。

当方からは事前に
サクラ役を何人かの先生たちにお願いし、演者にも「こんな質問しますよ」と打ち合わせをしておきました。
 
 いざ講演が始まると徐々に熱が入り、本来発言する予定ではなかったメーカーにとって
「禁句」ワードがポロポロ出てきます。
 こちらは半分ハラハラしながら聞いてます

そんなこんなで講演会は無事終了。大いに盛り上がったこともあり演者のフライングもありサクラの活躍する場はあまりなく終了いたしました。よかったよかった

予想はしていましたが残念なことに「認知症治療」を売り物にしている医療機関からの参加者がいなかったことです。それでも一般のドクターからは結構質問もありインパクトはあったものと信じております。

後で聞いたところではメーカーの方々も「初めて聞いた話」であり驚いていたとのことです。
(やったね!)

次回依頼するときはメーカー抜きにして「本当に知ってもらいたい話」をしていただこうと思っています

 

最近、あちこちの講演会で東大の先生の高血圧薬推しが強いな、と思ったら学会の新しい基準がw

なんだかなぁ、、、