コウノメソッド徒然草

その3 私はだあれ?

February/6/2015

 

 

認知症の患者さんを診察するといろいろなことがあります

 自慢じゃないが私は外見は「医者らしくない」と常々思っています。私のイメージとしては医師は、そもそも「真面目そうで、中肉中背か、どちらかというと線は細め」ですが私自身は「ヘラヘラしていてゴツイおっさん」だと思っています。ですので、ただでさえ「医者らしくない」私をみつめる認知症の進んだ方が私を見る目は「こいつは何者?」と言った感じが多いです

それでも診察している時にちゃんと白衣を着ていれば私のことは一応医師と認識してくれるようです。


これが往診などのように白衣を着ないと話が違ってきます。
 多くは何回か診察を重ね、またご家族が私のことを「お医者さんですよ」と言ってくれるとわかってくれている(と思いたい)ようです。

 もちろん最後まで私のことを誰だかわからず、診察のたびに「何か用かい?」と言って怪訝な顔で見てくる方や知らんぷりの方もいます

中にはこんなこともあります

90歳すぎのおばあちゃん。明るくニコニコとしていつもしっかり応対してくれます
でも15分前のこともすぐに忘れてしまいます
私のことは一応覚えてくれていて「先生、先生」と言ってくれます
会話もその場限りですがしっかりしています
でもいつまでたっても私の名前をおぼえてくれません
毎回「私の名前は?」と訪ねても「えーと、えーと何だっけ」とにこやかに笑ってごまかされます。
それでも不思議なことに時々普段の会話の中では私の名前がサラリと出てくることもあるそうです。
急に尋ねられると動転して答えられないようです。
でもなんだか楽しいので相変わらず合うたびに「私はだあれ?」と尋ねてしまいます

いつも訪問している男性の患者さん
結構認知症が高度で、なかなかいろいろな意味でムツカしい方です
もう半年くらい診察しているので私のことは「顔は見覚えがあるようです」
でも私が何者だかはわかっていないようです
先日、奥様が言うには
「あの馬鹿でかい男は誰だ?」とのたまわっていたそうです。
そりゃ白衣も着ていないので医者とは思っていないかもしれないけれど、「馬鹿でかい」とは
あまりといえばあまりのお言葉
でも笑っちゃいますね

私が誰だかわからなくてもいいのです。それで刺激になって反応が見られるだけもいいのです。笑顔が見られればもっといいです