コウノメソッド徒然草

その19 薬剤投与に関して思うこと

   患者さんご家族に話を伺うと、認知症の症状が進行すると大概の医者は「それでは薬を増やしましょう」と言われることが多いようです。薬剤は増量しても症状が改善することはあまり無く、逆に悪化することすらあります。多くの医師は悪化しても「認知症が進行しているのだから仕方がない」というスタンスを取る場合が少なくないようです。どうしてそこで「もしかすると薬が合わないのではないか?減らしたほうが良いのではないか?」という発想にならないのでしょうか?
 薬の使用説明書をみていると「順次増量するように」と書かれているので、何も考えずに増量する医師がほとんどだと思われます。ただ中には増量して行くとかえって症状が悪化することに気が付き、増量を中止してくれる医師もいます。そこで気がついてくれる医師と気が付かない医師との差が出てくるのだと思っています


 一般に「効果がないからと行って認知症の薬を勝手にやめると認知症が進行するので勝手にやめないでください」と書かれています。確かに「勝手にやめる」の良くないと思います。しかしなぜ介護者が薬の仕様をやめようと考えているのか医師はよく考えなくてはなりません。「効果がないのではなく、かえって悪化しているのではないか?」と考え直す必要があると思っています。マニュアル通りにすすめるのではなく、そこで立ち止まって考え直す。「ガイドラインに従っているから問題ない」という態度を取る医師はぜひ考えを改めてもらいたいと思います。
 「立ち止まって考える」これを私も忘れずに診療に臨みたいと思います