その1 コウノメソッドとの出会い
January/3/2015
私はクリニックでの外来診療の他に老人ホームで、いわゆる「嘱託医」のようなものもやっています。
毎週、施設を訪れ入居者の体調管理に携わるのです。かれこれ10年になります。当然ながら入居者は高齢者ばかりです。また施設に入居される方はほとんどが認知症の症状を有する方でした。入居当初は元気な方も年月を重ねるうちに認知症の症状が進行する場合が多く、寝たきりになったり、意思の疎通が困難になることも少なくありません。
どうにかならないかな?と思っても「年だから、認知症だから仕方がない」と思って、お手上げ状態でした。
暴れる患者さんがいれば、いわゆる鎮静剤の類を投与して半分眠らせたり、精神科の先生に丸投げしたりもしておりました
そうしていたある日、医療関係者のメーリングリストから一冊の本が紹介されていました
記録を見ると2012年12月とあります。コウノメソッド?知らないなあ、なんだか胡散臭いなあ でも某先生のオススメだからまんざらでもないだろうと思い直して、とにかく購入して読んでみました。
感想はというと、正直大したことありませんでした。コウノメソッドの宣伝本みたいで「ふ〜ん、そうなの?」といった程度でした。本はそのままどこかに行ってしまいました。でもなにか引っかかるものがあったのでしょう。その後河野先生自身のブログをチラチラ見るようになりました
次に河野先生の本を買ってみることにしました。それがこの本です (やはり気になったのでしょうね)
この本は医療者向けの本ですが、コウノメソッドの入門書とも言える本で「認知症全般に関しての指南書」とも言える本です。
(現在では改訂版が出ています)
この本の内容をアタマに入れて患者さんを診療すると、「ああこの症状はあれだったんだ、この症状はこれだったんだ」と納得することが多く見受けられました
それからは河野先生の著書を片っ端しから読むようになりました。
そういしているうちに「どうみてもピック病」と思われる症状を呈している患者さんに出くわしました。それまでは「悪態をついて暴れる困ったおばあちゃん」としてしかみていなかったのが「ピック病の症状で、暴れている患者さん」と考えなおし、コウノメソッドに従い治療を行ったところ改善が見られました。またその際に思い切って河野先生にメールで相談してみると、即座に返事をいただくことが出来、非常に助かりました。そんなことをやっていると他にも続々とコウノメソッドを適用する患者さんが増え、河野先生に相談を繰り返しているうちに「実践医」に加わることを勧められました。
最初は自信がないこともあり(実は現在もそんなに自信はない)、遠慮していたのですが「より多くの患者さんの診療をするためには実践医として氏名を公表するのが得策であろう」と考え、実践医に登録させていただくことになりました。
おかげでコウノメソッドを希望される患者さんが少しずつ増えておりますが、私の手にあまることも少なくなく、その都度相変わらず河野先生に相談するということの繰り返しです
コウノメソッド自体はまだまだ成長段階にあるものであり、今後もその内容を変えていくものと思われます。何より河野先生自身のブログを最初から読み返してみると、河野先生自身の苦闘ぶりがよくわかり治療法の変遷がよく分かるのです。
私はコウノメソッド実践医と登録してからまだ2年程度です。これからも診療を積み重ね、少しでも患者さん及びご家族に喜んでもらえるように努めていきたいと考えています