コウノメソッド徒然草

その18 てんかんと認知症

   最近われわれの間でクローズアップしてきたことには「てんかん」があります。「てんかん」というと一般の方には「全身をピクピクけいれんさせて白目をむいて泡をふいている」といったイメージを抱く方もあるかと思います。ところが高齢者の場合にはそのようなハッキリとした症状が出ることは稀のようです(というか私は見たことはない)。 症状としては一種の意識障害といえるでしょう。よくある例としては「就寝中に奇声を上げる」ことが多いようです。「良いときと悪い時の差が目立つ」「ふいにぼうっとする」等があげられます。診察して認知症のテストを行うと典型的な認知症の方は徐々に点数が悪化するのですが、「てんかん」の場合には悪化したり改善したりを繰り返すこともあります。当院では簡単な積み木テスト(積み木を組み立てるテスト) をおこなっています

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単純なテストですが、てんかんのある患者さんは、これができたりできなかったりすること多いようです(もともとこのテストは一種の意識障害のテストととも言えます) てんかんの厳密な診断は脳波検査です。一般に脳波検査は時間がかかるものですが、高齢者のてんかんの場合はさらに時間がかかり、数日間泊まり込んで検査を行ってようやく異常脳波を検出するという手間ひまのかかるのもので、あまり現実的ではありません。したがって経験的に診断するものなので絶対的なものではありません(これに関し専門の先生から批判的なご意見もあります) 。治療は抗てんかん薬を少量から開始します。高齢者であることを勘案して少量から開始します。効果があれば速やかに症状の改善が得られます。 

 認知症の治療を続けて今まで気がつかなかった症状の原因が一つわかったような気がします。 特に高齢の認知症はアルツハイマー、レビー、脳血管性など「一つの診断名でくくるのは無理」と思うようになりました。この他にも様々な診断名があるのに加えて、てんかんや発達障害が潜んでいることが少なくないと思うようになりました。