コウノメソッド徒然草

その16 最近の方向

 

認知症治療をやっていると一般的な中核薬ではどうしても行き詰まり、最近は漢方に手を広げつつあります。漢方って効果があるの?と思われる方もお出でと思いますが、やってみると「劇的では無いが効く人には効く」としか言い様がありません。「なぜ効果があるの?」と言われてもよくわかりませんが効果が有る方はあります。


 勿論、お勧めするフェルガードは手応えを感じることも多々あります。最近は「脳血管性認知症」が主体と思われる方に「プロルベイン」をお勧めすることもあります。ちなみに私の80後半の母親に「フェルガード」と「プロルベイン」を飲ませていますが、母親に関して言えば「効いているんだかどうなのだかわからないが、まあ飲ませないよりはマシだろう」と言った感じで内服させています。


 さらに最近はいろいろ調べているうちに「鉄」や「ビタミン不足」も気になり出しております。「鉄」に関しては血中の「フェリチン」を測定すればすぐに判明し、すぐに対応できます。ところがビタミンに関してはそうは行かないのです。ターゲットとなるのは「ビタミンB3」というものなのです。検査でB3を測定出来は無いのですがコストが高くて一般の方にはお勧めしがたい検査です。でも研究会などでお話しを伺うと保険を利用した検査で間接的にB3不足が示唆されることがわかってきました。これでどうにか道が開けた感じとなりました

 最近は認知症の患者さんが見えても最初からレミニール、リバスタッチ、メマリーなどを使用することはめっきり減っております。まずは最初には脳循環を改善させる薬剤を処方し、症状を診ながら漢方薬、一般的な西洋の薬で認知症に治療が効果があると思われる薬剤、さらに鉄剤やビタミン薬など様々の手段をとっていく方向に変わりつつあります。


 おそらく5年間の自分の処方とずいぶん変化してきているというか多様化しているものと思います。
 しかも一人一人個人差があるので微妙に対応も異なってきます。なのでなかなかマニュアル化できるようなものではなくってきており、悪く言えば「自分自身が迷いながら治療を行っている」とも言えると思います