その9 PSP(進行性核上性麻痺)での経験
May/5/2016
治療で劇的な効果があるとこちらもビックリしてしまいます
先日、当院で初めてPSP (進行性核上性麻痺)の患者さんが来院されました。すでに都内の某病院でPSPと診断され、コウノメソッドを希望され名古屋の河野先生のもとまで診察を受けに行かれた方でした。河野先生もPSPと診断され、東京の実践医のもとで治療を受けるべく紹介状を携えて来院されたのでした。
実は当初は他の実践医を受診するはずだったのですが、先方が都合が悪く診察できない状況だったので当院に回ってきた次第でした。
正直言ってPSPなんて、コウノメソッド実践医をやらないでいたら一生経験することもないかもしれない疾患です(そもそも気が付かなかった可能性もあります)。こりゃあタイヘンじゃあ!というのが正直なところでした。
まあコウノメソッドに従ってフェルガード内服とグルタチオン点滴でどうにかなるであろう、どうにかなって欲しい、という気持ちで治療を始めました
HDS-R 28点と 認知症の症状は乏しく、「目が見えにくい(近くのものが見づらい)」「何かをしゃべろうとしても、口に出るまで時間がかかる」というのが一番の訴えでした。
認知症の症状が乏しいからには、一層どうにかせねばと思いつつグルタチオン点滴を開始しました。
ところがグルタチオンを毎回増量しても、ちっとも良くなりません。とうとうグルタチオン3600mg(アンプルにして18アンプル)まで増量しましたが、ビクともしません。
効果がある方ならばグルタチオン800mgでも効果が出るはずなのですが、、、、。
本当にPSPなのか不安になってきました。近隣の実践医に意見を求めたり、他の疾患の可能性がないか改めて神経センターに診察依頼をしたりもしました。さらに河野御大にも意見を求めました。
結局、PSP以外の疾患は否定的であり腹をくくって臨むことになりました(正確にはPSP-CBDの可能性あり)
まずはシチコリンの方が効果的かもしれないとの意見で
グルタチオン 600mg
シチコリン 1500mg
の点滴を行いました。
これは失敗で、かえって物が見えづらくなり、気持ちが悪くなったとのことでした。この結果、この患者さんにはシチコリンは合わないことがよくわかりました
次に
グルタチオン 1600mg
ソルコセリル 12ML
の点滴を行いました。
そうしたところ、なんとなんと点滴をしている最中から「物がはっきり見えてきた」「物の色がはっきりと鮮やかに見えるようになってきた」と患者さんが言い始めました。
と、言うことはこの方はソルコセリルが劇的に効果を上げたとのことなのでしょう。
いままでも患者さんたちに点滴療法を行ってきましたが、ここまで劇的に効果を上げたことはなかったので、こちらもびっくりしてしまいました。
欠点といえば効果が長期間持続しないことなのですが、従来「難病」ということで治療法もなく「専門医」からは「難病だから仕方がない」とさじを投げられていたことを考えるとスゴイことだと思います。コウノメソッド恐るべし
くどいようですが従来の治療法では何ら改善も見いだせなかった疾患が、「ありきたりの」薬剤点滴で劇的に改善する状況を目の当たりにすると今の医学界の「常識」とは一体何なのであろうと思ってしまいます
私もまだまだ勉強せねばならないと反省し、コウノメソッドの凄さを改めて実感した次第です。