分類不能項目
Vol. 67
2016. February.11
青春残酷物語
A君は都内中高一貫有名学校の高校3年生です。成績優秀、将来は一流大学に行くことを期待されていた男の子でした。
彼は勉強熱心で自宅近くの塾に通い、時間があればせっせと自習室で勉強をしているのでした。その塾は特にハイレベルというわけではありませんが、近所の普通の高校生たちも多く、和やかな雰囲気の塾でした。
その近所のごく普通の高校に通っている女子高校生たちの中にB子、C子がおりました。成績はごく普通、というかごくごく平凡な女子高生たちでした。B,C子達にとっては塾は勉強の場であるとともに「交流の場」でもあるのでした。当然、いつしか彼女たちはA君とも話すようになりました。
ここで甘い青春物語に発展していくと行きたいのですが現実は甘くありません。なぜならA君は成績は優秀ですが、外観はお世辞にもイケてるといは言いがたく、どちらかというとブサイクであり雰囲気もアキバ系ヲタク少年のものでした。でもA君はとにかく勉強はできます。B,C子達はわからないことがあると「Aく〜ん、あの問題がわからないの〜、教えてよ〜」と猫なで声で近づいて教えを請うのでした。そうなると男子校で女子に免疫のないA君は嬉々として懇切丁寧に解答などを教えてくれるのでした。
「ありがとう〜、やっぱりA君は勉強できるのね、スゴイなあ〜」と甘い声でお世辞タップリでお礼を言うとA君は嫌な気持ちになるわけがありません。「このくらいの問題なら、ちょっと考えればすぐにできるようになるよ!わからないことあったらいつでも聞いてきてよ!」とA君もニコニコ顔でした。そうしてB,C子達はわからないことがあればA君をたより、その都度A君は的確な指導をしてくれるのでした。
A君はいつしか「俺は案外頼りにされているんだなあ」と悪い気はしませんでした。やがて大学受験の時期になりました。
A君はますます勉強に没頭し、B、C子たちもそれなりに勉強しておりました。
その結果、A君は首都圏にある某一流国立大学医学部に見事合格!
ああ、栄冠は君に輝く!を地で行く感じでした。受験勉強も終わったことであるし入学までのひととき、A君は彼女たちと青春を楽しもうと考えました。
女の子にデートなんて申し込んだこともない彼でしたが意を決してB,C子たちに連絡を取りました。
「Aだよ、お互い大学も決まってよかったね、ところで今度、ディズニーランドに行かない?」ところが返事は
「その日はD君達と先約が入っているからダーメ!」とのことです。それでは別の日に何かしようよと言ってものらりくらりとかわされて結局断られてしまったのです。そうです、A君はあくまで「勉強を教えてくれるアタマのいい人」であって「彼氏にしたいヒト」ではなかったのです。
A君にしてみれば、今までさんざん仲良く一緒に勉強をしたのだから、てっきり好意を持ってくれていると勘違いしたのでした。実はB,C子達もA君が彼女達に好意を抱いているのは気がついていましたが、その好意に応える気はさらさら無く、あくまでも「頭脳」を利用しているだけだったのです。
A君が現実を悟るにはしばし時間が必要でした。そうして現実に気がついた時、鏡を見て我ながらカッコいいとはいえない姿を直視しつつ「よし大学に入ったら俺はもっともっと勉強して彼女たちを見返してやるんだ!人間、外見よりも中身で勝負だ!」と決意するのでした。その頃B,C子達は自分たちの進学する大学での新生活の事で頭がイッパイでA君のことは軽く笑い飛ばしている日々でした
この物語は半分現実半分フィクションでございます。