分類不能項目
Vol. 58
2013. August.15
我が浪人時代 〜金町図書館(葛飾図書館)の思い出〜
私は高校時代、全くというほど受験勉強をしていませんでした。また学校自体も「受験は本人の問題であり学校が関わるものではない」というスタンスを取っており補修など皆無なのんきな高校でした。
そんな具合で現役で大学合格なんてできるはずもなく、無事?浪人となりました。昭和53年、1978年のことでした。
とりあえず予備校に入学し毎日電車に乗って予備校にかよっておりました。1学期はまあごくフツーに過ごし夏休みとなりました。夏期講習は受けるとして、それ以外の時間をどうやって過ごすか?詳細は覚えていませんが図書館で勉強することにしました。自宅ではだらけてしまうし、当時は図書館の自習室(閲覧室?)はエアコンは完備されているし受験生であふれており勉強に集中するにはもってこいの環境でした。
ところでどこの図書館で勉強するかという事になり、たぶん友人に教えてもらったのだと思いますが、なんと葛飾区にある葛飾図書館というところで勉強することになりました。
なんと電車を乗り継いで当時の国鉄金町駅から徒歩約15分もかけて通いました。自宅からは小一時間かかりました。それでも敢えてその場所を選んだのは午後7時まで利用できるからでした(もしかすると8時までやっていたかもしれませんが記憶が定かで無い)。当時、午後7時頃まで利用できる施設は私の知る限りは、この葛飾図書館だけでした。
朝は9時に開館だと記憶していますが、8時半には施設に入れるので8時15分頃に玄関前に到着して扉が開くのを待ち、扉が開いたら直ちに席を確保して勉強に臨むというパターンでした。
あのときは本当に集中したものでした。おそらく生涯で一番集中して勉強をした時期だと思っています。
記憶では、まずお昼まで休憩なしで勉強し、お昼は地下の食堂で昼食を取りました(食堂があるというのも選択理由の一つでした)。お昼の休憩時間は1時間までと自分で決め、午後は休憩を1,2回とりましたが一回につき15分程度とし、あとは閉館時間まで机に向かっていました。
まあ現役の時に全くというほど勉強していなかったので、まじめに勉強すると特に理科社会は新鮮そのもの!自分でもぐんぐん知識が吸収されるのがわかり、わかるようになると面白くなり、さらに勉強が進むという感じでした。
朝から晩まで机に向かって解説書を読んで問題を解き、自分でノートにまとめていくというのを我ながらまじめにやりました。
月曜日は休館日だったので、その日は私も休息日としていました。日曜日は5時閉館のはずだったので、今思うと小一時間かけて金町まで行く価値があったかどうだか疑問であり、日曜日は行かなかったかもしれませんが思い出せません。
とにかく夏期講習以外は金町の図書館にひたすらこもって勉強をしておりました。その甲斐あって2学期からは成績がぐーんとあがって、また勉強に対する姿勢も真摯なものになっていたような気がします。そして無事、北大に合格することが出来ました。
今でも金町の図書館で夏休みに集中して勉強したことが大学に合格することが出来た大きな要因だと思っています
で、先日実に35年ぶりに金町の図書館に寄ってみました。
当時は金町駅からトコトコ歩いて行ったものですが、今回は自動車で行きました。狭いながらも駐車場があるなんて知りませんでした
正面に回ると、あれれ?図書館という名称がなく「新宿(にいじゅく)図書センター」と書かれています。あれ?[新宿図書センター」となっており「図書館」ではなくなっている??
まあ、組織改編などがあって名称が変わったのであろうと思い中に入ってみます
さんざん通ったこの通路!
カウンターがあり、雑誌の閲覧場所があります。位置は以前と同じですがレイアウトは当時と異なっています。まあ30年以上経過しているので内部も変わって当然と思い振り返ると、当時はなかった書架が反対側にあります。「確か当時は1階には書架はなかったはずだよなあ」と思いながら青春時代を過ごした自習室&一般書架のある2階に登ってみました
確か昔は一階には書架はなかったはずだなあ、、
この古びた階段を上がっていくと、、
2階に上がってみると、フロアは閉鎖され中には入れないようになっています。あらら残念!きっと夏休みを利用して改装でもしているのだろうと思って眺めていました。
あれ?
パノラマにした画像。奥に入れません!
その時、たまたま図書館員の方が通りかかり「すいません、いまではここは使用できないのですよ」とすまなさそうに声をかけてくれました。
こちらも「実はこれこれ云々で久しぶりに寄ってみたんです」と言うと、ニッコリして「あら、そうですか!以前にも同じようなことをおっしゃって尋ねてきた方がいますよ」とのこと。しばらくイロイロ話を伺いました。
要するに数年前に新しい図書館ができて主だった機能はそちらに移転してしまったとのことです。3階に代わりに「閲覧室」がありますが、以前のもののような広いものではなく、こじんまりとしたものとなっていました。実際、閲覧室を見てみましたが利用しているのは数人のみという寂しい限りでした。「今は受験生でごった返すということはないんですかね?」と尋ねると一応「閲覧室」であり「自習室」ではないのですよとのお返事。でも自習を禁止しているわけではないとのことです。おそらく現代は当時と異なり塾の数も多く、また塾の自習室も充実していると思われ、皆さんそちらを利用することが多いのかもしれません。3階の閲覧室。閑散としています
昔の自習室を見ることが出来ず、ちょっぴり残念でしたが逆に地下にある食堂は当時のままとのことでした。
喜び勇んで地下に降りると、おお!昔のままの食堂があります。せっかくなので「たぬきそば」270円を注文しました。
ついでに店の主人に話を聞くと、なんでもお父様がやっていた食堂を引き継いで現在も営業を続けているとのことです
たぬきそばは決して高級ではなく、なんというのか懐かしい安っぽい味?だったのは嬉しかったです地下通路の右奥が食堂
昔と変わらぬレトロな感じ!
たぬきそば 270円です(昔は150円くらいだったような?)
家に帰って調べなおしてみると、私は今まで「金町図書館」という名所と思っていたのですが、どうも「葛飾図書館」というのが正式の名称らしいです。また、図書センターとなった現在、この施設は図書保存庫としての役割があるようです。開館時間も金曜日以外は午前10時から午後5時までと短縮されており、メインの図書館としての機能は縮小しているようでした
その分、新しく金町駅前にできた中央図書館は夜も10時までやっているという当時では考えられなかったような素晴らしいものになっているようです。
私が通ったこの建物もかなり年季の入ったものであり、そう遠くない将来建て替えられてしまうのかもしれません。もうここに立ち寄ることもないかもしれませんが、あの集中して勉強した日々のことは終生忘れることはないと思います
近所にあった交通公園もリニューアルして健在でした