当院における湿潤療法の実際

case 6  加湿器による熱傷

10ヶ月女児、加湿器に手を出して熱傷を生じてしまいました

ピントが合っていませんが第3指、5指には水泡が出来ています。第4指は色が紫色になっていますがこれは皮下に出血しているためです。切開してみると出血が見られました。2009年1月18日撮影

 出血が続くので止血を優先するか、このまま熱傷自体の治療を行うかしばし考えましたが今回は熱傷の治療を優先しました。血液の性状から新鮮血ではなく、おそらく皮下で出血した血液が切開したことにより外部に出てきたものであり、創自体からの出血は止まっているのではなかろうかと考えたからです

まずはお湯で洗って白色ワセリンをたっぷり塗布し、サランラップでラップしました。翌日必ず受診するように指示しました。

1月19日

翌日の状態です。創自体はキレイであり、出血はないようです。全体的にふやけています。ぶよぶよになった皮膚は切り取っても良いのですが、子供が動いて危ないので無理に切除すると却って危険なのでこのままとしました。ここからはプラスモイストで指全体を覆うようにしました。手指はその中では自由に動かせる状態です

こんな感じで処置しています。肌色のものがプラスモイストで、そのうえからサランラップで固定しています

1月21日の状態です。熱傷部分の皮がペロンとむけています。従来のやり方では乾燥させたのでしょうが、湿潤療法ではこのように「うるおい」を保たせます

1月23日。ピントが合っていませんが、急速に改善してきています。皮膚が再生しているのがお分かりでしょうか?

1月29日です。もうほぼ大丈夫、古い皮膚はそのうちはがれるでしょう。そのままにしました

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